公務員を2回辞めた男の転職日記

公務員(市役所職員)を2度辞めた男が、転職活動を通して感じたことや市役所の実情について記します。

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市役所のちょっと変な仕組み~指定管理者制度とは?~

こんにちは。公務員を2回辞めた男「ぽぐる」です。

 

さて、皆さんは指定管理者制度という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

 

公務員でない方には、あまり耳なじみのない言葉なのではないでしょうか?

 

現役公務員の方でも、言葉は聞いたことがあっても、詳しいことはよくわからない方も多いのでは?

 

というわけで、今回は市役所のちょっと変な仕組み

指定管理者制度について紹介していきたいと思います。

 

・公務員試験の面接のネタを探している人

・施設管理の仕事に興味がある市役所職員

指定管理者制度の担当になってしまった市役所職員

 

にはピッタリの内容になっていますので、是非ご覧ください。

 

 

 

指定管理者制度とは?

では、指定管理者制度とはどういうものなのでしょうか?

 

指定管理者(していかんりしゃ)とは、地方公共団体が、公の施設の管理を行わせるために、株式会社をはじめとした営利企業財団法人NPO法人市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度、またその指定を受けた団体のこと。地方自治法第244条の2 第3項〜第11項に基づく。

(引用:Wikipedia

 

つまり指定管理者制度とは、簡単に言うと

市民センターや文化ホールといった公共施設の管理を、民間事業者や市民団体にお願いするための仕組みです。

 

「国や自治体が管理していているものをどんどん民営化して行こう!」

という時代の流れの中で生まれ、今や全国的に導入されている制度です。

 

 

業務委託との違いについて

ここまで簡単に指定管理者制度の説明をしてきましたが、

これって業務委託と何が違うの?

と思った方もいると思います。

 

法律的にいろいろと細かい違いがあるのですが、ここでは、重要な部分だけを簡単に解説していきますね!

 

議会の議決が必要である

普通の業務委託だと、入札を行い、管理を任せる企業や団体と契約を結ぶだけでOKなのですが、指定管理者制度がは最終的に議会の議決が必要になります。

 

議会の議決をもらう前には、選定委員会を開催して、どの団体が指定管理者になるかをあらかじめ決めておきます。

 

選定委員会では、応募してきた事業者が、事業計画書をもとにプレゼンを行うのです。

 

提示した金額が安ければいいわけではなく、事業の内容も重要な要素になってくるのが入札制度と大きく違うところですね。

 

ここまで読んで公務員の方ならわかると思うのですが、普通の契約事務と比べて仕事量が圧倒的に多いです。

 

なので、この指定管理者との契約のためだけに、担当が1人~2人ついて1年以上かけて準備をするわけです。

 

管理の権限が異なる

イマイチわかりづらいと思うので、簡単に説明すると

 

業務委託は

「この施設に関する〇〇と●●に関する業務をやって~。詳しくは契約書に書いてあるよ~。その通りにやってね~」

って感じで

 

指定管理者制度

「施設の使用許可も含めて権限をまるごとあげるよ~。条例や仕様書の範囲だったら好きに運営して良いよ~。工夫して運営してね~」

 

って感じです。

業務委託と比べると、自由度が大きく違いますね。

 

このように指定管理者制度は、民間のノウハウを活かした運営ができる仕組みというわけです。

 

使用料の徴収について

業務委託では、施設の使用料を事業者の収入にすることはできませんが、指定管理者制度ではそれが可能になります。

 

これを「利用料金制度」と言います。

 

指定管理者の努力次第で、収入を増やすことが出来るので、よりよいサービスの提供が出来るようになるための制度ですね。

 

 

指定管理者制度のメリットとデメリットは?

ここまで指定管理者制度の仕組みについて説明してきましたが、メリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

 

ここでは、指定管理者制度を導入した施設の担当をしたことがある私が、担当者の目線で感じたことをお話していきたいと思います。

 

メリット

自主事業のクオリティが上がる

個人的には、これが一番のメリットだと感じています。

 

市役所が直営で運営している場合、イベントや講座などの企画は職員が考えなければなりません。

 

市役所の職員にそんなノウハウを持ち合わせている人はいませんし、せっかくノウハウを身に付けても、2~3年で異動をするのであまり意味がありません。

 

あと、市役所職員が考えるイベントってセンスがないんですよね…

時代のトレンドに乗るような企画を考えられる人ってほとんどいないと思います。

(考えたところで上に潰されるってのもあるんですが…)

 

その点、民間企業は、様々な方面で強いコネクションを持っているので、面白いイベントをたくさん実施することが出来ます。

 

そして何よりセンスがあります(笑)

 

私が担当していた施設でも、直営時代と比べると明らかにイベントのクオリティが上がったように思えます。

 

 

運営のコストが下がる

国や自治体は、これがやりたくて指定管理者制度を導入しているので、当たり前と言えば当たり前の話なのですが…

 

人件費一つにしても、公務員の正職員一人を配置するよりコストが低く済みますからね。

ただしこれには、低賃金労働者を生み出しているという別の問題があるので個人的には懐疑的な部分もあります。

 

私が担当していた施設は、独自のルートで電気会社と契約して、電気量を大幅に下げる実績を残していましたね。

 

こういうところは民間企業だからこその強みですね。

 

 

デメリット

内部で貸し出しの融通が利かなくなる

私が担当していたある施設の話です。

 

直営時代は、

「〇〇のイベントでホールを使いたいから最優先で押さえておいて!」

といったことが出来たのですが、

 

指定管理者制度が導入されてからは

「一般の方だろうが、市役所の方だろうが予約は〇か月前から。当然早い者勝ちです。こちら側の利益にならない市役所のイベントを優先する義理はないです。」

 

というスタンスを事業者が取ったため、

市役所のイベントなのに、市役所の施設を使えないという事態が起こりました。

 

仕様書の作りが甘かった故の悲劇なのですが、こういったことも起こるわけです。

 

 

運営が安定しなくなる

指定管理者との契約は通常3年~5年程度であり、その都度公募をしなければなりません。

 

毎回指定管理者が変わってしまえば、当然運営は安定しなくなります。

 

一応、事業者同士で引継ぎをしなければいけない決まりありますが、それにも限界はあります。

 

私が担当していたとある施設でも、引継ぎがうまくいかず、指定管理者が変わってしばらくの間はトラブル続きだったことがあります。

 

施設管理について詳しい人が市役所にいなくなる

私が担当している施設が直面していた大問題です。

 

直営時代は、正職員の電気技師が施設に配属されており、施設の全容を把握している職員がいました。

 

しかし、指定管理者制度が導入されて20年近く経過した今、施設のことを把握しているのは、指定管理者の事業者だけです。

 

事務職員に施設の詳しい状況などわかる人がいるハズもなく、指定管理者を公募する時に使う仕様書の意味すら分からない始末…

 

これって非常に危険なことですよね?

しかも、この施設は15年以上同じ事業者が指定管理者となっており、この事業者が管理を降りるなんてことになったら…

 

想像するだけでも恐ろしいです。どうするつもりなんでしょう?

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、市役所のちょっと変な仕組み指定管理者制度について解説しました。

 

一見すると、良いことだらけの制度のように見えますが、個人的には問題も多い制度であると感じています。

 

今回の記事が、これから公務員を目指す人の面接のネタになったり、担当者の参考になったのなら幸いです。

 

 

 

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